なんちゃって賃金制度

中小企業に多い、三大なんちゃって賃金制度。

1つ目。なんちゃって退職金制度。

 

通常、退職金制度は、確定拠出か確定給付か・金額が多いか少ないかは別として一定の細かいルールがある。当然、退職金規程が存在し、それに基づいて客観的に運用される。

 

他方、なんちゃって退職金制度は、経営者の裁量で金額が決まるアバウトな制度。

独立した退職金規程はなく、せいぜい賃金規程の最後に「入社3年以上経過した正社員が辞めた場合は退職金を払う。支給時期・支給額は都度会社が決定する」と簡単に規定してあるだけ。

会社がいわゆる養老保険に加入し、社員が辞める都度保険会社から入る解約積立金を原資とすることも多い。

 

 

2つ目。なんちゃって年俸制度。

 

通常、年俸制度は、社員の業績や会社貢献度に応じて毎年の年収が決まる。アップダウンすることも珍しくなく、プロ野球選手のようなイメージだ。

そのため対象者には大きな裁量権が与えられ、成果が定量的に測られる業務ほどマッチする。当然、会社は毎年適切に評価査定する必要がある。

 

他方、なんちゃって年俸制度は、毎年経営者の裁量で年収が決まるアバウトな制度。本人は特に大きな裁量権は与えられず、かつ具体的な評価制度もない。結果、メリハリのある制度では全くなく、やっていることは、言ってみれば単に月給を12倍にしているだけ。

更に多くが年俸の中に残業代や賞与を含むとしているが、賃金規程に明確な根拠規定がないことが多く、未払い賃金リスクが生じる。

 

 

3つ目。なんちゃって歩合給。

 

通常、歩合給は計算方法はいろいろあれど、本人が努力して結果を出せば出すほど増えていく。モチベーションにもつながる。

 

他方、なんちゃって歩合給は、巧みな?計算式を使用し歩合給から残業代を控除し決定する分かりにくい制度。残業をいくらしたところで歩合給がそれを吸収するから賃金は一向に増えない。

明確区分性がないと判断されれば、未払い賃金リスクが生じる。

 

 

仕事柄、このようななんちゃって賃金制度についての相談を受ける。

その都度、その制度を入れる目的を確認し、本当にそれが意味があることなのか・未払いリスクは大丈夫か・社員のモチベーションにどう影響するか等考えてもらうようにしている。


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