中小向け補助金に2000億円(12/23)
経産省と財務省は中小企業向け補助金に関し、2018年度当初予算案と17年度補正予算案で合計2000億円程度を盛り込む。設備投資を支援する「ものづくり補助金」に1000億円程度、生産システムのIT化などを促す補助金に500億円程度の予算をつける。ものづくり補助金は、中小企業がほかの企業と共同研究したり情報を共有したりしたうえで、生産性を高めると国に認められて導入する設備には、今後も投資額の3分の2を補助する。一方で共同研究などの要件を満たさなければ、補助率を2分の1に減らす。ただ、小規模事業者の場合については、3分の2の補助を認める。IT投資の補助金については、予算規模を5倍に増やす。ただ、個別に適用する場合の補助率は現在の3分の2から2分の1に減らす。
実質賃金 10月0.1%減(12/23)
厚労省が発表した10月の毎月勤労統計によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%減となり、速報段階から0.3ポイントの下方修正となった。減少は5カ月連続となった。名目賃金にあたる現金給与総額は0.2%増の26万7433円だった。速報段階と比べて0.4ポイント減少した。所定内給与が速報段階よりも伸び悩んだことが影響した。
転職助成金 予算減額へ(12/22)
厚労省は2018年度予算で「労働移動支援助成金」を減額する方針を決めた。政府は「雇用調整助成金」を減らし、転職を促す労働移動支援助成金を14年度から大幅に拡充。リストラに遭った労働者を雇い入れて職業訓練をする企業に1人1時間あたり800~1100円の助成金を出す「人材育成支援コース」を新たに設けた。今年9月末までの3年半で、この助成金を活用して職業訓練を受けた再就職者は119人、支給総額は3531万円。17年度の再就職者は9月末時点でわずか3人。3500人以上の利用を見込んでいたが、想定を大幅に下回っている。
外国人労働者の農作業 通算3年まで(12/21)
政府は、国家戦略特区で農作業にあたる外国人労働者の受け入れ指針を決めた。日本で働ける期間を通算3年とし、報酬は日本人と同等以上にすることなどを定める。国家戦略特区法が6月に改正され、外国人による農作業や農産物の加工、販売が認められた。1年以上の実務経験や必要な技能、日本語能力があることが条件で、派遣会社などの「特定機関」が雇用契約を結び、農家や生産法人に派遣する。指針では、働ける期間を通算で3年とし、農作業のない時期などにいったん帰国すれば、その期間はカウントしない。
トヨタ労組 18年春闘 ベア3千円要求(12/20)
春闘の相場に影響力を持つトヨタ自動車労働組合は20日、2018年の春闘で「月3千円」のベアを要求する執行部案を固めた。17年要求と同じ水準だ。上部団体である自動車総連や全トヨタ労働組合連合会の「月3千円以上」も踏まえた。18年2月に正式決定する。17年春に得たベアは組合員平均で3千円の要求に対して、1300円だった。政権が企業に賃上げを促す「官製春闘」が始まった14年以降で最も少なかった。
新卒採用 企業4割が初任給アップ(12/19)
リクルートホールディングスが発表した2019年の新卒採用の調査で、4割超の企業が初任給を上げて人手を確保すると回答した。人手不足が深刻化する中、待遇面を改善して人材の確保につなげようとする企業が増えている。「人材確保のために初任給を引き上げているか」と尋ねたところ、「既に取り組んでいる」と「今後取り組む予定」の合計が42・5%だった。従業員の規模別では「300~999人」が51・2%で最も多く、「1千人以上」(47・5%)より多かった。
大和証券グループ 全社員3%賃上げ(12/18)
大和証券グループ本社は、来年度から管理職を含む約1万4千人の全社員の給与を、月収ベースで3%程度引き上げる方針を固めた。来年6月からの実施を目指す。子育て世代の20~30代前半は手厚く、5%程度の賃上げとする。株高で業績が好調なこともあり、賃上げを決めた。今後労使間で最終調整する。すでに介護などを理由に在宅勤務ができる制度も導入しており、優秀な人材を確保するには待遇改善が必要としている。同社は2016年度には全社員の給与を平均1%引き上げた。
部下の残業肩代わりでうつ・自殺 ホンダ系店長労災に(12/16)
ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」の自動車販売店の男性店長(当時48)が昨年12月に自殺したのは、長時間労働などによるうつ病が原因として、千葉労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は今年6月16日付。男性は2015年3月、千葉市内にオープンした店の店長になったが、部下の残業を減らすために代わりに残業するなど長時間労働を続けたという。同年6月に行方がわからなくなり、2カ月後に戻ったがストレス性うつ状態と診断された。同年8月、無断欠勤などを理由に書面で懲戒解雇を通知され、昨年12月20日に自殺した。代理人弁護士によると、千葉労基署は①店のオープンの準備期間が短く焦りや不安を生んだ②時間外労働が80時間を超える月が2回あった③13日連続や17日連続の勤務をしていた④3カ月連続の赤字でノルマを達成できなかった――などが原因でうつ病を発症したと判断し、労災と認めたという。遺族側はホンダカーズ千葉に未払いの残業代や慰謝料などを求める訴訟を千葉地裁に起こしている。
産業医8割「メンタル対応に自信ない」(12/15)
産業医の8割が過労やメンタルヘルスへの対応に自信がない。こんな実態が、医師専用の会員制交流サイト「メドピア」のアンケートで明らかになった。相談にあてる時間や精神科の専門知識が足りないことなどが背景にあるという。非常勤の産業医が多く、1カ月あたりの勤務時間は5時間未満との回答が6割にのぼった。勤務時間に占める業務で多いのは「安全衛生の会議」「職場巡視」「健康診断の結果確認」の順で、従業員と接する時間を長くとれない実態が浮かび上がった。過労やメンタルヘルスの対応で十分な役割を担えていると答えたのは2割。対応に困る理由には、精神科が専門ではなく「的確に診断できる自信がない」「職場復帰までの見極めが難しい」ことなどが挙がった。
介護報酬0.54%引き上げへ(12/14)
介護保険サービスの公定価格である介護報酬について、政府・与党は来年度の引き上げ幅を0.54%とすることを決めた。障害者支援サービスの公定価格である障害福祉サービス等報酬は0.47%引き上げる。いずれの報酬も3年に1度見直される。介護報酬のプラス改定は2012年度以来6年ぶり。報酬を引き上げて事業者の収入を増やし、介護職員の待遇改善につなげる狙いがある。一方、国費ベースで約150億円の負担増で、利用者の自己負担や40歳以上が支払う保険料の負担も増えることになる。
イオン 従業員の健康改善にポイント(12/13)
イオンは2018年度から、グループの従業員17万人を対象に健康改善に努力すればポイントがもらえる制度を始める。医療費負担を減らす狙いもある。イオン健康保険組合の加入者向けサイトで、健康診断の結果や通院情報をもとに各従業員の「健康年齢」を示し改善を促す。例えば、体重を40日間連続で入力したら350ポイント、健康年齢が1歳改善したら100ポイントがもらえる。このポイントはWAON(ワオン)ポイントに交換し、1ポイント=1円で使える。対象者の4割はパートなどの非正社員。ローソンも同様の制度を15年度から始めている。
人手不足深刻 DIは25年ぶり水準(12/12)
日銀が発表した12月の全国企業短期経済観測調査で、人手不足が一段と深刻になっている状況が浮かび上がった。従業員などの過剰感を示す雇用人員判断指数(DI)は全産業でマイナス31と、25年ぶりの低水準。雇用人員判断DIは、雇用者について「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を差し引いた値。人手不足が深刻な「宿泊・飲食サービス」のDIは大企業でゼロと前回調査から6ポイント悪化。「対個人サービス」も、大企業はプラス24と前回から11ポイント悪化した。「建設」のDIは大企業でプラス45と9月調査から3ポイント悪化した。
東大 有期教育職員の5年で雇止め撤廃(12/11)
有期契約の教職員を最長5年で雇い止めにする規則を定めている東京大学が、この規則を撤廃する方針を固めた。労働契約法の無期転換の適用を阻む規則だとして、労働組合が撤廃を強く求めていた。東大で有期で働く8千人近くに無期転換の道が開かれることになり、同様の規則を定めている大学や研究機関にも影響を与えそうだ。
NHK スタジオ収録は午後10時まで(12/9)
NHK記者の佐戸未和さん(当時31)が4年前に過労死した問題を受け、NHKは「NHKグループ働き方改革宣言」を発表した。宣言では、長時間労働に頼らない組織風土作りや、効率的な働き方の追求、ワークライフバランスの充実などを掲げた。特に放送現場では、来年度からスタジオ収録は原則午後10時終了を目指す。大河ドラマや連続テレビ小説は午後9時を目標とする。定型原稿やテロップの自動作成などにAIやICTなどの活用も進める。
所得税増 年収850万円超に(12/8)
政府・与党は2018年度税制改正で焦点となっている所得税改革で、年収が850万円を超える会社員を増税とする方針を固めた。当初は年収800万円超を基準とする方針だったが、連立を組む公明党内の反対意見に配慮して引き上げる。公務員を含む給与所得者のうち200万~250万人が対象となるとみられ、合計で900億円の増収となる。14日にまとめる与党税制改正大綱に盛り込み、20年1月から実施する。
3~5歳は認可保育所無料(12/7)
政府は臨時閣議を開き、教育無償化など「人づくり革命」と賃上げ・設備投資の促進など「生産性革命」から成る新しい経済政策を決定した。人づくり革命では、3~5歳の子どもが通う認可保育所は完全に無償化する。0~2歳や大学生は低所得世帯に限って無償にする。無償化の全面実施は2020年度とする。詳しい制度設計は来夏に先送りする。
会社員の増税、年収800万円超で決着(12/6)
2018年度税制改正で焦点となっていた所得税改革は、年収800万円超の会社員を増税することで政府・与党が合意した。1000億円を超える財源を新たに確保する。20年1月から実施する。誰もが受けられる基礎控除を現在の38万円から一律10万円増額し48万円とする一方、特定の収入に適用される給与所得控除は一律10万円減らし、公的年金等控除も減額する。給与所得控除は控除額の上限も引き下げ、年収1千万円以上で年220万円の控除から、800万円以上で年190万円の控除とする。この結果、年収800万円以下の会社員は控除の増減が一致して税負担が変わらない。一方で年収が800万円を超すと増税となる。22歳以下の子どもや、介護を受けている人(原則要介護3以上)、精神疾患などで特別障害者控除を受けている世帯は増税の対象外とする。増税となる給与所得者は、公務員も含めると約300万人になる。財務省の試算によると、年収850万円で年1.5万円、900万円で3万円、950万円で4.5万円、1千万円で6万円、1500万円で8.6万円の増税になる。誰もが受けられる基礎控除を手厚くし、フリーランスなど請負契約で働く人に減税の恩恵が及ぶようにする。ただ、高所得者は基礎控除も縮小・廃止する。所得が2400万円を超えると段階的に控除額を減らし、2500万円で打ち切る。2500万円を超える人は15万人程度にのぼるという。
子育て支援企業の労災保険料下げ(12/5)
厚労省は2018年度から労災保険料率を引き下げ、企業の負担額を現在より年約1300億円減らす方針を固めた。雇用保険料率の引き下げ分と合わせると、労働保険による企業の負担額は年3000億円規模で軽くなる。3年に1回、料率(現在全業種平均0.47%)を改定しているが、今回は事故件数が減少し、保険財政が堅調に推移していることから約1300億円を捻出する。12月中旬の労働政策審議会に示す。厚労省は今年度から3年間、雇用保険料の料率を0.8%から0.6%に引き下げる。企業側の負担はすでに年約1700億円を軽減している。
賃上げ企業87.8%(12/4)
厚労省は2017年の賃金引き上げに関する実態調査の結果を発表した。定昇やベアなどで賃上げをした企業の割合は87.8%(前年比1.1㌽増)。1人あたりの月額賃金の引き上げ額は451円増の5627円となり、いずれも比較可能な1999年以降で過去最高。産業別では、建設業が最も高く8411円。不動産業・物品賃貸業が6341円、情報通信業が6269円と続いた。賃金を引き下げた企業は0.2%にとどまった。賃金改定で最も重視した点については「企業の業績」が55%で最多。「労働力の確保・定着」が8.7%で続いた。
10月求人倍率 1.55倍(12/2)
厚労省が発表した10月の有効求人倍率は1.55倍で、43年9カ月ぶりの水準となった。新規求人数は前年同月比7.1%増。業種別にみると、スマホ関連が好調な製造業が最も増え12.8%増だった。医療・福祉(7.9%)や情報通信業(9.3%)も伸びが大きかった。企業の求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は14.7%だった。「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。総務省が発表した10月の完全失業率は9月と同じ2.8%。求人があっても職種や勤務地など条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。3%割れは「完全雇用」状態にあるといえる。
介護職の在留資格見直しへ(12/2)
政府は、介護現場で働く外国人技能実習生が国家資格の介護福祉士試験に合格すれば、いったん帰国した後に日本で介護職として働き続けられるような制度見直しをする方針を固めた。介護職は11月に初めての対人サービスとして制度の対象に加わった。実習生は最長5年、日本で働くことができる。介護職として日本で働き続けられる外国人は現在、経済連携協定の仕組みでフィリピンなどから来日したり、留学生として日本の養成校で2年以上学んだりして介護福祉士試験に合格した人などに限られている。
賃上げなどで法人税下げ(12/1)
政府は積極的な賃上げなどに加え、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」など革新的な技術に投資した企業の法人税負担を実質20%程度に引き下げる方針だ。現在の賃上げ促進税制は、給与総額を基準年の12年度と比べて一定割合増やしたうえで、前年度から2%賃上げしたら法人税額から一定額を控除できる仕組みだ。政府が検討している新たな枠組みでは賃上げの目安が3%に上がる。要件は厳しくなるものの、数万件の利用が見込まれる。
電通 未払い残業代24億円支払い(12/1)
電通は過去2年分の未払い残業代約24億円を12月中に支払うことが分かった。今夏以降、2015年4月から今年3月までに在籍した全従業員に、この期間の未払い残業代の調査を実施した。電通は、従業員が時間外に会社に残って過去の資料を調べたり語学の勉強をしたりした時間を「自己研鑽」として労働時間と認めてこなかった。調査では、従業員に電子メールや手帳、インターネットの閲覧履歴などから、これらの時間を自己申告してもらった。電通は17年1~9月期決算で、「勤務時間に関する一時金」として23億6700万円を計上。ただ、対象の従業員数や1人当たりの平均支払額などは明