◆トモノ式 賃金制度・評価制度

トモノは、中小企業が本当に使える賃金制度・評価制度をご提案、作成いたします。

それは、机上論による杓子定規で複雑なものでもなければ、流行りのものでもありません。実務を通じて実感し培ってきたもので、人の本音や心理、理論、そしてコトの本質に基づくシンプルなものです。


御社のメリット

①賃金のルールが明確化され、もう悩む必要がなくなります!

②賃金表を工夫することで、使い勝手の良い(人件費のコントロールや評価の反映がしやすくなる)賃金になります!

③手当を工夫することで、賃金を求人に効果的に利用できます!

④効果的なインセンティブか可能になります(インセンティブの弊害を防止できます)!

⑤賃金やインセンティブの理論(賃金とやる気の関係)を知ることで、マネジメントスキルが向上します!

⑥トモノ式ランキングシートで、楽に・客観的に・評価者が思い描く評価が可能になります!

トモノ式フィードバックシートで、評価による人材育成・部下の動機づけが可能になり、経営者・上司としてのマネジメントスキルが向上します!

※詳細は、以下「トモノ式賃金制度・評価制度」をご覧ください。


トモノ式賃金制度・評価制度

賃金でヒトのやる気を出すのは難しい

いきなりですが、みなさんは賃金でやる気が出たことがありますか?

 

「ある」「ない」、恐らく両方いると思います。

では「ある」と答えた人に更に伺います。そのやる気はどれくらい続きましたか?

 

恐らく、長くは続かなかったのではないでしょうか。例えるなら「打ち上げ花火」。一瞬だけだったかもしれませんね。

でも、それは正しい”感覚”です。実は動機づけ論の観点からみると、賃金は短期的な動機づけ要因に分類されます。やる気を長続きさせることは難しいのです。

 

さて、話はここで終わりません。

同理論では、賃金は長期的には不満足要因にも分類されます。

不満足要因とは、その不満が解消されたとしても、動機づけには働かないものです。

例えば、社員が「昇給のルールがよくわからない」という不満をもっていたとします。それに対して、会社が昇給のルール化を図ったとします。すると社員のその不満は解消されますが、だからといってやる気が出てくるというものではない、ということです。

 

そして動機づけ要因と不満足要因は別々に作用します

例えば、仕事にやりがいを感じ満足していても、一方で賃金が低いなど不満がある場合は、その賃金に対する不満は仕事のやりがいをもって解消されることはないということです。

気をつけるべきは、その不満を放置し「満足<不満」の状態が悪化していけば、社員が離職してしまう恐れが出てくることです。不満足要因を放置することは危険なのです。

 

当理論から、賃金制度のポイントは次の2つに集約されます。

賃金の不満をいかにして取り除くか

(短期的な)やる気を出すために、賃金をどう活用するか

1つめですが、そもそも賃金の不満足要因とは何なのかということになりますが、例えば図のようなものが考えられます。

まずは、これらの不満のタネを取り除くことを意識すべきなのす。

 

2つめですが、例えばボーナスとか昇給などはそのいい例です。

金額にもよるでしょうが、ボーナスが出たり昇給すれば、たいていの社員は嬉しく思うはずです。やる気も出るかもしれません。

但し前述のとおり、残念ながらそのやる気が長く続くことはありません


何のために制度を導入するのか

賃金制度で「社員のやる気を高めたい」「定着率を上げたい」「会社の業績をアップさせたい」という期待を抱いて相談に来る経営者がたまにいらっしゃいます。

 

そのような場合、いつもこうお聞きします。

「社長自身は今までに、賃金で社員のやる気が上がったとか、業績が上がったとか、そのような経験をしたことがありますか?」と。

そうすると、そのような経験があると答える方はほとんどいません。

でも、それが答えなのです。

 

賃金制度を導入・見直す最たる理由は、「ルール化を図り、社員間の賃金のバラつきをなんとかしたい!」というものです。

言い換えれば、それは「ルールが不明瞭」という賃金の不満足要因を解消することであり、非常に意味のあることです。

 

但し、賃金のルール化を図ったところで、まかり間違っても「これで社員のモチベーションが上がるぞ!」なんて期待しないでくださいね。なぜなら、(くどいですが)賃金は不満足要因だから。

「なんだ、それではあまり意味がないじゃないか!」と、賃金に過度な期待を寄せるあなたはがっかりするかもしれませんね。

 

でも、がっかりする必要は微塵もありません。

先ほど「意味のあること」と述べたのは、賃金のルール化によって「社員の賃金への不満を取り除き、退職を思いととどまらせることになるかもしれない」ということです。

 

過去、あなたの会社で、やる気をもって仕事をしていたはずなのに、なぜだか急に退職した社員はいませんか?

その原因は、ひょっとすると「満足<不満」であった可能性があります。不満のタネを取り除いていれば、退職に至らなかったかもしれません。

 

賃金制度に着手する前に大切なことがあります。

それは、賃金の性格やヒトの心理、モチベーション理論を理解すること、そして、一体全体なんのために制度を導入するのか、その理由を明確にすることです。

さもなければ、良かれと思い制度を導入しても、間違った制度(逆効果になったり、期待を裏切られる制度)になりかねません。

トモノ式賃金制度①

・「賃金で人のやる気を高めることは難しい」というところからスタートします。(であるならば、何のために賃金制度を導入するか、というところを明確にしてからスタートします)


基本給は能力給が1番使いやすい

ここからは、具体的な賃金制度の話に移ります。

基本給を決定する主な要素として、「能力」「仕事」「役割」「年齢」「成果」の5つあります。

 

この中で、いま”流行り”なのが「仕事給」や「役割給」です。この手のセミナーや書籍は盛んです。

文字通り、仕事や役割によってその人の基本給を決定するという考え方で、合理的であり納得感があります。

 

但し、実際はそれらの導入は極めて困難であり非現実的です。主に2つの理由があります。

1つめは、事前に個々の仕事や役割のレベルについて、分析して評価する必要があるのですが、これが非常に困難です。

これからの時代、人手不足で一人ひとりに任される仕事や役割は多岐に渡ったり、どんどん変わっていくであろう中で、いちいちその都度分析・評価などやってられません

そして2つめは、柔軟な配置転換が困難になり組織が硬直化するということです。仕事や役割で賃金が決まるということは、異動よっては賃金が下がってしまうこともありうるわけです。そうなると、結局は配置転換できなくなります。

(ちなみに、職務給は戦後、アメリカから輸入されたものです。しかしながら日本人の気質に合わず、結局その後、多くの企業が職能給に変えていったという歴史があります)

 

それでもどうしても仕事給や役割給を導入したい場合は、複数の賃金テーブルを用意したり、別途手当を支給したり、或いは一定の社員に適用するなどの方法が考えられます。

 

そうなると、結局は能力給が残ります。

ではここで言う能力とは何か?ということになりますが、非常に曖昧です。各人がもっているスキルや知識・技能を能力ということも可能ですし、成果を能力と捉えることも可能です。或いは、キャリアや経験から一定の能力があるとみなすことも可能です。

このように能力の捉え方は多岐に渡り曖昧ですが、曖昧さの中でモノゴトを決定していくという日本人の特性に最も向いているのが、この能力給なのです。

 

但し、外国人労働者の採用を考えている企業にとっては、ある程度、賃金や評価を明確にした方がよいかもしれません。昨今、外国人労働者が日本企業での就労を敬遠する理由として、「処遇の分かりにくさ」をあげているのも事実です。

 

或いは、基本給は評価の結果が反映するものですから、基本給の要素をあえて明確にせず、評価によって都度決定する(コントロールする)という考え方もあります。

トモノ式賃金制度②

・基本給は使いやすい能力給をベースに組み立てます。

・仕事給や役割給は、原則、基本給ではなく手当などで代替します。(流行りだからといって勧めることはしません)


賃金テーブルは、会社が運用しやすいようにする

賃金テーブル(賃金表)の設計にあたっては、賃金原資、グレード(等級)、ピッチ、範囲級か単一給か、モデル賃金カーブ、評価との関係、退職金との関係などいくつかのポイントがあります。

これら1つ1つについて、経営者の考え方や会社の諸事情などを考慮しながら、詰めていきます。

 

例えばグレードの数。グレードは、一体いくつ設定すればよいのかという課題が出てきます。

「グレードが上がる=昇格」は、社員の動機づけになります。そのような意味では、たくさん設定した方がよいかもしれません。しかし、多ければ多いほど、各グレードの定義が曖昧になります。その両者の兼ね合い・バランスで、グレードの数を決定します。

 

隣接するグレード(範囲給)の重なり具合をどうするかという課題もあります。

一般的に中小企業は賃金が高くないこともあり、かなり重ねることになります。離せば離すほど、特に上位職の賃金が高騰してしまうからです。

更に、重ねた方が会社としては運用(特に賃金変更時のプロットや昇格・降格)がしやすくなります。

 

ピッチの決定については、モデル人材(モデル賃金カーブ)と定昇(諸手当)、評価ルールとの関係が重視されます。

但し人件費のムダな高騰を防止するため、特に中小企業では、業績に応じて柔軟にピッチ(評価ルール)を変えられる仕組みを導入すべきです。

 

このように賃金テーブルの設計は、総合的・長期的な観点の下、1つ1つの課題をクリアしていき、かつ何度も何度も地道にシミュレーション(社員プロット)を繰り返していくことになります。

ここは、全体の制度設計の中でも特に時間を要するところであり、王道はありません。

トモノ式賃金制度③

・賃金テーブルは、さまざまな観点からシミュレーションを繰り返し、総合的に決定していきます。

・会社が運用しやすい賃金テーブルにします。


手当は、会社の色を出し「生き金」にする

多くの企業の賃金制度を見てきた中で、手当ほど実にもったいない賃金の払い方をしているものはありません。

手当を「ただ何となく」つけている、いわば「死に金」になっているケースがあまりにも多いのです。

手当の名称と内容が一致していなかったり、同じような手当がいくつもあったり、意味不明な手当があったり、或いは手当がほとんどなかったり…

 

手当は、工夫次第でもっと「会社の色」(会社の方針や経営者の思いなど)を内外に伝えることができるものなのです。

 

例えば、当所が過去にご提案した手当を少しご紹介すると

・アニバーサリー手当

 社員の結婚記念日など特別な日に手当を支給

 →「家族があってこそ安心して働ける」という経営者の考え方から

・旅行手当

 休日に旅行した場合にその費用を支給

 →「見識を広めて仕事に役立てて欲しい」という経営者の思いから

・エコ手当

 車やバイクを使わず通勤する社員に対して、通勤手当に加算して支給

 →「環境保全について考えてほしい」という経営者の思いから

・シングル手当

 シングルで育児している社員に、家族手当に加算して支給

 →「働くシングル社員への経済的支援をしたい」という経営者の思いから

 

このように手当はアイデアや工夫次第で、会社の方針や経営者の思いを可視化・具現化することが可能なのです。そして、これらをうまくアピールすれば求人にも活用できます。差別化になり、共感する人材が集まりやすくなります。

こうすることで手当は「生き金」となり、有効な賃金となるのです。

トモノ式賃金制度④

・手当は無駄なものをなくし、会社の方針や経営者の思いを反映させた「生き金」にします。


インセンティブには弊害がある

例えば「契約を1つ取れば5万円」「売上目標を達成すればその10%」など、成果に対してインセンティブを払っている企業は多いものです。

 

多くの経営者は、インセンティブが社員のやる気を引き出し、良い効果をもたらすものだと何の疑いもなく信じて払っています。

 

しかし、もしそのインセンティブが、実は逆効果にはたらくことがあるとしたら、どうでしょうか?

「そんなバカな!?」と、インセンティブを信じてやまないあなたは強く疑うでしょうね。

 

しかしここでは、残念なお知らせをしなければなりません。心して観て下さい。

実は、インセンティブには図のようなさまざまな弊害が潜んでいます。これらは、半世紀ほど前からアメリカの心理学者らのさまざまな実験により証明されています。

 

「契約を1つ取れば5万円」のように、「○○をすれば○○が得られる」と事前に分かっていると、人はいろんな弊害に陥りやすくなるのです。

例えば、インセンティブのことだけで頭が一杯になることで、視野が狭くなります。その結果、成果が落ちたり、創造力が低下したり、短絡的思考に陥ったり、或いはルールに反するようなことをしてしまいがちになります。

また内発的動機付けが低下することも分かっています。人はお金(ご褒美)で自分が他人からコントロールされていると分かると、やる気を喪失する」のです。

 

例えば、子供が自主的に勉強しているとしましょう。そこに親が現れ、良かれと思い「1時間勉強したら1時間ゲームしていいよ」などと「ご褒美」をあげるとします。すると子供のやる気が失せることがあります。

なぜなら、子供はご褒美のために勉強をしているわけではないし、親にご褒美で自分がコントロールされているように感じるからです。

そして最悪なのは、勉強する目的自体が、ゲームをすることになってしまうことです。

 

これら弊害は、インセンティブの多少や個人差も関係するでしょうが、インセンティブを導入する前に、よく理解しておく必要があります。


効果的なインセンティブの払い方

ではどうすれば、弊害を抑えた効果的なインセンティブになるのでしょうか。

 

ここでは、分かりやすく説明するため、図のように仕事をA~Dの4つの事象に分けます。

縦軸は、仕事の成果が数値など客観的に測ることができるか否か、横軸は、考えることが要求される仕事であるか否かをみます。

 

Aには、例えば営業職が当てはまります。Bには、世の中の多くの仕事が当てはまります。Cには、例えば簡単な入力作業などの仕事が当てはまります。Dには、例えば工場での簡単なライン作業などが当てはまります。

 

Aですが、いくらインセンティブの弊害があるからといって、仕事の成果が数値で測れる以上、それに対して何もインセンティブを払わないということは難しいでしょう。

ではどうすればよいかというと、「バランスよく」インセンティブを払うということです。例えば、売上だけでなく利益率も対象にするとか、個人だけでなくグループの成果も対象にするとか、そんな感じです。

これらの工夫により、弊害を抑え仕事の質を担保するのです。

 

Bですが、結論から言って、原則インセンティブを払う必要はありません

なぜなら、仕事を数値で測ることが困難であるにも関わらず、無理して数値化して払おうとすれば、そこに数々の矛盾や疑問点、不平不満が生じるからです。

とは言っても、特に会社に貢献した社員には、いくらかでも払ってあげたいというケースもあるでしょう。その場合は「サプライズ」(表彰制度など)で払うのが効果的です。表彰とは、多くの社員の前で承認する行為であり、それだけでも内発的動機付けが高まります。

インセンティブの弊害は、インセンティブの内容が「事前に」分かっているから生じるのであって、事前に分かっていなければ生じないのです。

 

Cですが、原則Bと同じです。

 

Dですが、ここは逆にインセンティブが効果的です。インセンティブを設定することで、生産性は上がります。なぜなら、弊害が生じる余地がないためです。

過去の実験により繰り返し証明されています。

トモノ式賃金制度⑤

・インセンティブは、その仕事の特性をよく踏まえた上で、弊害を抑え、効果的なものにします。

・無理にインセンティブを設定することはしません。


賃金トラブルや訴訟リスクを排除する

賃金制度を導入する場合、最新の労働法や労働判例への対応、賃金トラブルや訴訟リスクの排除という観点は欠かせません。

 

・固定残業代

固定残業代については、導入している(導入を考えている)企業はそれなりにあります。

基本的に当所はお勧めしていませんが、「見かけ上の賃金を大きく見せられる」という意味では、特に賃金が総体的に高くない中小企業にとっては、一定の効果もなくはないといったところでしょうか。

固定残業代が認められるには、過去の判例からいくつかの要件(規定化と周知、不足分の残業代の支払い等)を厳格に実施することが求められます。

但し近年、固定残業代に対する判例は、企業にとって厳しいものとなっています。導入には、細心の注意が必要です。

また、採用時において、固定残業代に関して十分な説明をすることが重要です。昨今、固定残業代など求人票の労働条件と実際の労働条件の相違によるトラブルが増えています

 

・正規と非正規の処遇格差

仕事や責任はほとんど同じなのに、非正規という理由だけで賃金を正社員よりも大きな格差を設けると、パートタイム労働法第8条や労働契約法第20条などを根拠に、労働者から訴えられる可能性があります。(現在、そのような訴訟が増えています

これらのリスクを防止するためには、正規と非正規の職務基準や責任、役割を明確に分け、可視化・周知すること(抜本的な人事制度の見直し)が必要になります。

パートタイム労働法第8条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)

事業主は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって、当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

長沢運輸事件 定年後再雇用 同じ業務で賃金格差は違法(日経電子版 平成28年5月14日)

定年退職後に横浜市の運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が、正社員との賃金格差の是正を求めた訴訟で、東京地裁(佐々木宗啓裁判長)は13日、「業務内容が同じなのに賃金が異なるのは不合理」として、請求通り正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう運送会社に命じた。

判決は「定年前と同じ立場で同じ仕事をさせながら、給与水準を下げてコスト圧縮の手段にするのは正当ではない」と指摘。再雇用者の賃金を下げる運送会社の社内規定について、正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反すると判断した。

原告側の代理人によると、再雇用の賃金をめぐり、労働契約法違反を認める判決は初めて。

判決によると、3人は2014年に60歳の定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用された。セメントを輸送する仕事の内容や責任の程度が変わらない一方、年収は定年前より2~3割下がった。

被告の運送会社は「会社が定年前と同じ条件で再雇用しなければならない義務はなく、不合理な賃金ではなかった」と主張していた。

代理人の宮里邦雄弁護士は「運送業界では、中小業者を中心に、全く同じ仕事なのに再雇用者の賃金を下げる例が多い。不当な処遇の改善につながる判決だ」と述べた。

企業が定年後に嘱託社員を雇用する場合、仕事内容の変更とともに賃金を引き下げることは一般的。佐々木裁判長は「コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため、賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだ」とも判示した。

 ・不利益変更への対応

新たな賃金制度を導入する際、決まって問題になるのが、賃金が下がってしまう社員が出てくることです。

労働契約法や過去の判例により、企業は賃金などの労働条件を一方的に不利益に変更することはできません。原則、本人の同意が必要になります。

また、一気に下げるのではなく、段階的に下げていく「経過措置」をとることも実務では重要になります。

 

・最低賃金

ご存じのとおり、時間給が最低賃金を下回ると最低賃金法に抵触します。

但し、最低賃金をみるときの時間給の算出方法を正確に知っている人はほとんどいません。(残業代をみるときの時間給の算出方法とは異なります

再計算の結果、最低賃金を下回っていたケースも散見されます。

 

安易に賃金制度を導入・変更することは、未払い賃金訴訟や不均衡訴訟など、大きなリスクを伴うことになります。

最新の労働法や労働判例に精通した社労士が賃金制度を導入することに大きな意義があるのは、そういった理由なのです。

トモノ式賃金制度⑥

・最新の労働法や判例を加味した上で、賃金トラブルや訴訟リスクを排除します。


点数評価が全くダメな理由

ここからは評価制度の話に移ります。

図のような「点数評価」を実施している企業は、未だに多くみられます。(まるで学生時代の通信簿ですね(笑))

しかし点数評価が、評価に対する不平不満や評価の形骸化の原因を作っていることに早く気付くべきです。

 

その理由はたくさんあります。例えば

・評価項目が多く、評価がボケてしまっている

・評価項目が多い分、評価を難しくしている(評価者による基準のバラつき等)

・評価内容が会社方針やチーム目標と一致していない

・そもそも評価者が評価項目や評価基準を理解していないため、部下に説明できない

・減点主義になりやすい

・最終的に結果(合計点・ランク)しか見ない

・ウエイト(%)の根拠が意味不明

・ほぼ毎回同じ結果になる(点数が多少増減したところで、最終結果は変わらない)

 など

 

では、なぜそもそも評価を点数化するのでしょうか?

 

それは社員を「序列づけ」し、「処遇(賞与や昇給・昇格)に反映させる」ためです。

評価の目的を処遇のみとしている企業は多く、そのような企業にとって、評価とは点数化し序列化する作業であり、処遇を決定するための単なる根拠づくり(評価のための評価)にほかなりません。

さらに、評価結果をフィードバックするのはせいぜい年に2回(賞与査定時期)で、しかも評価結果と賞与額を告げるくらいの実に中身の薄いものになっているのが現状ではないでしょうか。


ヒトは数字では測れない

評価が、不平不満の温床になる理由は前述のとおりいくつもありますが、根本的な問題として「人の能力や仕事の成果を無理やり点数化しようとする」ところにあります。

 

営業など仕事の成果が数値で測れるものであればまだしも、そうでない限り、人や仕事を点数化することは至難の業です(で結局よく分からないと真ん中の3点をつけてしまう(笑))。評価を経験したことがある人は、誰でも心当たりがあると思います。例え経験がなくても少し考えればわかります。

にもかかわらず多くの企業が、旧態依然として未だせっせと点数化しているのです。世の中のほとんどの仕事が数値で測れないというのに!

そこに、さまざまな矛盾や疑問、問題、不平不満が生じるのは当たり前の話だと思いませんか?

 

では、なぜわざわざ点数化などするかと言えば、それは前述のとおり「序列づけ」し、賞与や昇給などの「処遇を決定」するためです。

例えば「目標管理制度」もいい例です。

目標を立てること自体はいいことですが、評価が絡むとこれがいただけません。次に何をするかといえば、その立てた目標に意味不明な(笑)「パーセント」や「ウエイト」を設定します。

なぜわざわざこんな訳の分からないことをするかと言えば、やはり点数化して序列づけし、最終的に処遇に反映させるためです。

 

そして問題は、点数化や処遇に反映させることで、さまざまな弊害が生じることです。(前述の「インセンティブには弊害がある」を思い出してください。理屈は同じです)

まず、クリアしやすい低レベルな目標を掲げがちになります。

そして、短期的な思考に陥りやすくなります。無理に評価期間内で結果が出るような短期の目標にしがちになります。更に、点数稼ぎのためパーセントやウエイトを調整する人も出てくるかもしれません。

…こうなると、目標を掲げる意味ってどこにあるのでしょうか? 

 

そもそも、目標とはもっと戦略的・長期的な観点から設定されるべきものであり、部下のやる気を継続させるべきものです。

目標を処遇に反映させようとした途端に、本来の目標の意義や効果が損なわれてしまうのですから本末転倒です。でも、誰もそのことに気付かず、むしろ良かれと思ってやっているのが現実なのです。

トモノ式評価制度①

・人や仕事、目標について、無理に点数化しません。

複雑なシステムは導入しません。


点数化せず序列づけする

「みな仲良く平等に処遇しよう」という企業であれば、序列づけ(点数化)する必要はありません。そもそも評価する意味が乏しいですからね。

しかしながら、そのような優しい?企業は現実にはほとんどありません。

 

実際は、ほとんどの企業では主に次の理由で、多かれ少なかれ序列づけが必要になります。

・処遇差をつけないと優秀な社員が辞めてしまう

・賞与原資や昇給原資、昇級(ポスト)には限りがある

 

但し何度も繰り返しているように、序列化するには点数化しなければならず、それがさまざまな矛盾、疑問、問題、不平不満を引き起こします。

 

では一体どうすればよいのでしょうか?何か良い方法はないのでしょうか?

 

実はあります。

それは、評価者(経営者や上司)の頭の中に既にある順位どおりに部下の名前を書き出すことから始めればよいのです。従来の評価とは真逆の発想です。

 

「そんなことをしたら、評価の公平性が損なわれるではないか!」と、真面目なあなたは憤慨するかもしれませんね。しかし、よ~く考えてみてください。

御社が現在実施している評価に、そもそも公平性があると言い切れますか?更に、一度出た評価結果を後から”鉛筆なめなめ”していませんか?

 

であるならば、最初から評価者の頭の中に既にある順位を元に評価を進めた方が、はるかに効率的で、正しい(率直な)評価になると思いませんか。

 

では、ここでテストをしてみましょう。

あたなが今、面倒をみている部下について、会社への貢献度が高いと思われる部下から順に、自由に順位をつけてみて下さい。

 

…どうでしょうか。恐らく、何のためらいもなく順位をつけることができたのではないでしょうか。

今まで、私が経営者や上司の方に同様のテストをすると、ほとんどの方が何のためらいもなく順位をつけました。

何が言いたいかというと、要するに、既に経営者や上司の頭の中では、普段から部下の序列づけができているのです。そしてその判断基準は、あながち間違いではありません。

 

また、予めコアヴァリュー(価値基準)を設定しておき、コアヴァリューに基づいた理由を付すことにより、客観性を担保することが可能になります。

トモノ式評価制度②

・トモノ考案の「ランキングシート」により、部下の序列づけが「簡単に・客観的に・効果的に」行うことが可能になります。(点数化せず合理的に序列づけができます)

・その結果を賞与や昇給、昇格に反映させることができます。


相対評価は愚の骨頂~ヒトの気持ちが分からなければ失敗する

組織が複雑になるにつれ、或いは企業規模が大きくなるにつれ、評価において2つの悩ましい壁が出てきます。それは「評価者間の壁」と「部署間の壁」です。

厳しい評価をする評価者がいれば、甘く評価をする評価者も出てきます。また、部署によって評価内容自体が異なったりします。

一般的には、お決まりの「相対評価」と「評価者訓練」で対処することになります。

 

相対評価とは「S評価は全体の5%、Aは15%、Bは60%、Cは15%、Dは5%」といったルールを事前に決めておき、それに無理やり当てはめる評価手法のことです。

 

この相対評価、理論上は公平性が保たれ、一見、納得性があるように感じますが、はっきり言って、机上の空論以外なにものでもありません。

なぜなら、(いわゆる絶対評価で)Aをつけた人であっても、他者の評価によってはBになったり、或いはその逆も然りと、ビジネスライクで評価が変わってしまうからです

これこそ、評価のための評価であり、不公平極まりない評価です。

 

この相対評価については、実は私自身、かなり苦い経験があります。

前職で人事をしていたころ、この相対評価への社員や部下の不満・反発は予想以上に大きなものでした。人事や制度に対する彼らの不平不満の表情や言葉は、未だに自分の心に突き刺さっています。

そのとき、相対評価とは愚の骨頂であること、人の気持ちが分からなければよい制度など作れないこと(机上論でビジネスライクにことを進めても、決してうまくいかないこと)、流行りの書籍やセミナーの内容は机上論で大企業向けであることに、身をもって気づいたのです。(そのような意味では、よい経験をしたとも言えます)


惜しみなくAをつけ、承認欲求を満たす

では、どうすればよいのでしょうか?

 

答えは簡単です。

相対評価などやめて、Aをつけるべき部下がいればどんどんAをつけてやればいいだけの話です。(やみくもにつけろ、という意味ではありませんよ)

 

「Aばかり増えると、原資が決まっている賞与や昇給はどうするのか?」と、真面目なあなたは心配するかもしれませんね。

 

でも心配に及ばずです。原資内に収まるよう、評価ではなく賞与額や昇給額を調整すればよい(金額を固定化しなければよい)だけのことです。ここでも発想の転換が必要です。

 

そしてこの方法は、最も大切なことを可能にします。

評価とはマズローの自己実現論(図参考)で言うところの「承認」行為です。

承認欲求を満たすことによって、部下のやる気を高めることが可能になるのです。しかも「自分は認められているんだ」という気持ちが、やる気を継続させます。

 

一方、賃金の「やる気効果」は打ち上げ花火のように一瞬です(冒頭の「賃金でヒトのやる気を出すのは難しい」を思い出してください)。

相対評価を気にせずAをつけるということは、賃金よりも評価(承認)を優先するということに他なりません。逆に相対評価でAをつけるということは、評価より賃金を優先するということです。

体裁ばかりに気を取られて、肝心な部下のやる気を引き出すチャンスを逃しては本末転倒ですよね。

 

また賞与や昇給は、会社の業績次第で変動するのは当然のことです。これらを固定化させないことで、人件費の無用な高騰というリスクを排除できます。


ヒトは不合理な生き物~評価は限界がある

前述の「壁」をなくす対処法として、評価者訓練があります。

当訓練は、モデルケースなどを元に各評価者の評価者エラーを防止し、評価基準を揃えることを目的としています。どんな評価者でも同じ基準で部下を評価できれば、こんなに素晴らしいものはありませんよね。

 

しかし、残念ながらそれはかなりの理想論であると言わざるを得ません。

まず、当然ながら現実はモデルケースとは異なります。結局、個々のケースごとに判断しなければなりません。

次に(特に中小企業では)、訓練をやる時間やノウハウがそもそもないということがあります。

そして、人間は「不合理な生き物」ということです。

例えどんなに訓練を重ねても、評価者の癖や評価者エラーはそう簡単には直りません。

誰しも経験があると思いますが、人は必ずしも合理的で誰もが納得する言動をとるとは限らないからです。

賃金もそうですが、特に評価については、制度の設計・運用ともに常にこのことを出発点として考える必要があります。(というか、その方が楽です)

 

もちろん、訓練の全てがムダだとは言いませんが、訓練をするには時間も労力もかなり消費します。しかもその費用対効果は未知数です。なぜなら、人は不合理だから。

制度設計もそうですが、運用も然り。評価というものは、かなり限界があるということです。

 

とはいえ「人は予測不能です。結局、どんなに訓練をしても、どんなに人格者であっても、一時の感情や好き嫌いによるハロー効果で評価してしまいます。だから、いっそあきらめて評価者の好き勝手にやらせましょう」と言うつもりはありません。

 

人の不合理性を踏まえた上で(認めた上で)、「壁」を減らすための最低限の仕組みや企業努力が必要ということです。

トモノ式評価制度③

・相対評価はせず部下の承認欲求を満たすこと(やる気を引き出すこと)を優先します。

・コアヴァリューに基づいた評価で、評価者間の評価レベルの差を減らします。


これからの時代に求められる、人材育成としての評価

そもそも「評価で人材育成」することは可能でしょうか?

 

この問いには、少なくとも今の評価システムでは無理である、と言わざるを得ません。

今の評価システムは、あくまでも「処遇する」ことが大前提で作成・運用されているため、前述のように「ただただ点数化し序列化する作業」に陥ります。

そこには「部下を育てよう」などという意識や仕組みは、生まれてきません。

 

しかし、次の4つの発想の転換さえできれば可能です。

 

1つめが、評価を処遇に直接反映しないということです

評価を処遇に反映しようとした瞬間、さまざまな思惑が生まれます。人材育成という観点から遠ざかるばかりです。

 

2つめは、もっと個々に目を向けるということです。

従来よくある評価では、一律に評価内容が同じです。しかしながら、これからの人材育成で大切なのは、一人ひとり個々にもっと目を向けるということです。

ですから、評価内容は個人個人で違っていて当然なのです。

 

3つめは、評価項目は絞るということです。

多くの経営者は、あれもこれも評価したがります。気持ちはわかりますが、多ければ多いほど評価がボケてしまうだけで、結果、何も得られません。

評価項目は、例えば3つくらいでも構いません。

4つめは、定期的なフィードバックです。

今の人材育成では、ある意味これが最も大切です。1~3はこのためのツール、手段と言っても過言ではありません。

目標の設定や進捗具合の確認、動機づけ、承認などを行います。

回数は一概に言えませんが、1~2ヵ月に1度できれば効果的です。

トモノ式評価制度④

・トモノ考案の「フィードバックシート」により、評価による人材育成が可能になります。

・部下一人ひとりに向き合った評価項目とし、評価結果を直接処遇に反映することは避けます。

・定期的なフィードバックを実施し、部下の動機づけや成長支援を行います。


「トモノ式賃金制度・評価制度」導入までのフロー

1.お電話やメール等で、お問合せ・ご用命下さい。

2.当方が御社へ伺い(又はご来所いただき)、主に次の手順で進めます。内容により一概に言えませんが、月2~3回ほどの打合せペースで、制度完成までに概ね3~4ヵ月要します。

【賃金制度】

①現状と課題の把握

必要に応じて、組織診断や社員面談も承ります

②方針策定と人事フレームの作成

③適正人件費の把握

④賃金カーブの決定

⑤諸手当の決定

⑥基本給(賃金表)の決定

⑦プロット&シミュレーション

⑧不利益変更対策

⑨賞与ルールの決定

⑩賃金規程の作成

【評価制度】

①コアヴァリューの検討・決定

②トモノ式フィードバックシート(人材育成シート)の作成

③トモノ式ランキングシート(序列付けシート)の作成

④ランキングシートからの処遇への反映ルールの決定

⑤評価シミュレーション

⑥評価規程の作成

 

【周知】

社員説明会の実施※


・料金は「サポート内容と料金」のページをご覧下さい。

 ※は別途料金が発生いたします。

専門家派遣制度を利用すれば最大20万円の補助が出ます。